NICEHCK
PureAural
定位と分離の良さを、音楽にもゲームにも活かせるドングル型USB DAC。
本製品はNICEHCK様よりレビュー用にご提供いただきました。内容や評価についての指定はなく、実際にスマートフォンへ接続し、複数の再生機器と比較したうえで率直に記載しています。
NICEHCK PureAuralは、DACにCS43198、アンプ部にSGM8262を搭載したドングル型USB DACです。HiFiリスニングだけでなくゲーム用途も意識しており、音の位置を捉えやすい明確な定位と、ぼやけにくいクリアな音を特徴としています。
実際に聴くと、全体の解像感と分離が高く、音像がビシッと決まる印象です。余計な響きを加えず、入力された音を正確に整理して鳴らす方向で、スマートフォンの音質を手軽にグレードアップしたい方に使いやすい一台でした。
QUICK VERDICT
音楽ではクリアさと分離の良さ、ゲームでは定位の分かりやすさが魅力。NICEHCK NK1 Ultraと比較して、低域のタイトさ、女性ボーカルの存在感、高域の粒立ちにハッキリとしたグレードアップを感じられます。
良い点
- クリアで解像感が高い
- 定位が明確で音像がぼやけにくい
- 分離が良く、やや広めの音場
- 女性ボーカルが前に出て艶も感じられる
- 最大210mW@32Ωの高出力
- 3段階ゲインや10バンドPEQに対応
気になる点
- 響きの豊かさより正確さを重視した音
- 音量を上げた際、ノイズ感が気になる場面がある
- 機能を活用するには専用アプリでの設定が必要
- 価格差のあるDAPや据え置き環境との音質差は当然残る
主な特徴
PureAuralは、DAC・アナログ・電源の各回路を分離した6層PCBを採用。CS43198とSGM8262に加え、LM27762と2基のLDOによる電源構成を組み合わせています。
主な仕様
| DAC | Cirrus Logic CS43198 |
|---|---|
| オペアンプ | SGM8262 |
| 電源管理 | LM27762+2LDO |
| 対応フォーマット | 最大PCM 384kHz/32bit、DSD256 |
| 最大出力 | 235mW@16Ω/210mW@32Ω |
| S/N比 | 125dB@32Ω |
| ダイナミックレンジ | 125dB@32Ω |
| THD+N | -110dB@32Ω(0.00017%) |
| ゲイン | Low/Mid/Highの3段階 |
| 音量調整 | 100段階のハードウェア音量 |
| 動作モード | Class AB/Class H |
| 音質調整 | 10バンドPEQ、5種類のデジタルフィルター、各種プリセット |
| 対応環境 | Android/iOS/HarmonyOS/Windows/macOS |
| ケーブル | 銀メッキ単結晶銅ケーブル |
※仕様値はメーカー資料に基づきます。実際の性能や消費電力は、接続機器・負荷・音量・動作モードなどによって変化します。
デザイン・操作・機能
アルミニウム筐体は、細かなサンドブラストとシルバーブラッシュを組み合わせた仕上げです。ピアノの鍵盤から着想を得たというデザインで、シンプルながら安っぽさを感じにくい外観です。
本体の円形ボタンは指先で位置を確認しやすく、1回押すと再生/一時停止、2秒間の長押しでデジタルフィルターを切り替えられます。インラインリモコンによる音量調整や曲送り・曲戻しにも対応します。
専用アプリでは、ゲーミング・音楽用プリセットのほか、10バンドPEQ、チャンネルバランス、ゲイン、マイクゲインなどを調整できます。標準状態で使うだけでなく、イヤホンやゲームに合わせて細かく追い込めることもPureAuralの特徴です。
Class AB
固定電源方式で、安定した出力とリニアリティを重視。音楽をしっかり聴きたい場面や、ダイナミックレンジの広い楽曲に向くモードです。
Class H
信号に合わせて電源供給を調整し、消費電力と発熱を抑えるモード。スマートフォンへの負担や長時間使用を意識する場合に適しています。
試聴環境
| USB DAC | NICEHCK PureAural |
|---|---|
| イヤホン | BOOMDROP XTM-DPA |
| ケーブル | BOOMDROP XTM-DPA付属ケーブル |
| 再生機器 | スマートフォン |
| 比較機 | NICEHCK NK1 Ultra SHANLING M3 Plus Limited Edition FiiO K9 AKM |
※音質の印象は、使用するイヤホン・ヘッドホン、音源、ゲイン、音量などによって変化します。
音質
基本特性
全体的にクリアで解像感が高く、分離にも優れています。音場はやや広めですが、響きを大きく広げるのではなく、一つひとつの音像を明確な位置へ置くタイプです。音がビシッと決まり、複雑な場面でもぼやけにくく感じます。
低音域
低音域はクリーンでタイト。過度に厚みや余韻を加えず、輪郭を保ちながら素早く収束します。ほかの帯域を覆いにくいため、ゲームでも低音に埋もれず周囲の細かな音を追いやすい低域です。
女性ボーカル
女性ボーカルはクリアで前に出やすく、声の存在を捉えやすい音です。低い部分の成分もしっかり出ているため、単に明るく薄い声にはならず、艶や質感も感じられます。
高音域
高音域は解像感が高く、細かな音の粒立ちが良好です。空間へ余韻を大きく響かせるというより、音の立ち上がりと輪郭を明瞭に表現します。金属音や細かな効果音も分離して捉えやすい傾向です。
ゲームでの使用感
PureAuralは「ゲーミングDAC」として訴求されているだけあり、音の位置が分かりやすく、複数の音が重なっても輪郭がぼやけにくいことが強みです。
PureAuralは余計な響きを抑えて音を正確に提示する印象です。この性格は、音楽鑑賞ではクリアさや分離を求める方に、ゲームでは足音・効果音・方向を把握したい場面に合っています。
ゲーム用途で感じた利点
- 音の方向と距離を捉えやすい
- 音数が増えても輪郭が崩れにくい
- 低域がタイトで、細かな効果音を邪魔しにくい
- プリセットやPEQで用途に合わせて調整できる
ほかの機器との比較
NICEHCK NK1 Ultra
PureAuralは、低音域がよりクリーンでタイト。女性ボーカルは前に出てクリアで、低い声の成分も不足しにくく、艶を感じられます。
高音域は解像感と粒立ちに優れ、空間を余韻で広げるというより、細かな音を明確に鳴らします。全体的な完成度は高く、NK1 Ultraからもう一段上を求める場合、買い替える価値を感じられる差があります。
SHANLING M3 Plus
Limited Edition
M3 Plus Limited Editionは音の響きが豊かで、音楽を心地よく聴かせる方向です。対してPureAuralは、余計な響きを抑え、音を正確な位置へ提示する印象があります。
音量を上げた際にはPureAuralの方がわずかにノイズ感を意識する場面がありましたが、定位の明確さは良好です。全体的な音質差も、専用DAPとドングルDACという違いから想像するほど極端には感じませんでした。
FiiO K9 AKM
据え置き型のFiiO K9 AKMと比べると、音の余裕や厚み、全体的な質感には相応の差があります。一方で、想像していたほど大きく離される印象ではありませんでした。
PureAuralも分離と解像感がしっかりしており、スマートフォンへ直接つなげる小型機器として考えると健闘しています。据え置き環境の代替というより、外出先でも音の見通しを大きく落としたくない場合に魅力があります。
どんな方におすすめか
- スマートフォンでクリアかつ高解像度な音を楽しみたい方
- ゲームで足音や効果音の定位を分かりやすくしたい方
- 響きの多さより、分離・粒立ち・正確さを重視する方
- PEQやプリセットで自分好みに調整したい方
- 低価格ドングル型DACのグレードアップを考えている方
総評
NICEHCK PureAuralは、クリアさ、解像感、分離、定位の良さを高い水準でまとめたドングル型USB DACです。
低音域はクリーンでタイト、女性ボーカルは前に出て艶があり、高音域は余韻よりも粒立ちと輪郭を重視。音場を広く見せるだけでなく、それぞれの音を正確な位置へ配置するため、音楽でもゲームでも見通しの良さを感じられます。
高価なDAPほど響き豊かではなく、据え置き環境の音には及びません。それでも、スマートフォンへ手軽に繋げるサイズでありながら、その差を想像以上に抑えています。
音楽的な響きや柔らかさより、クリアで正確な音を求める方に特におすすめです。NK1 Ultraからのステップアップ先としても、買い替える価値を大きく感じられる製品でした。

